よくあるお悩み 02

尋常性乾癬
(+オテズラ)

尋常性乾癬とは皮膚に赤斑ができ、その表面が次第にボロボロとはがれてしまう皮膚の病気のことです。

長い間原因が不明でしたが、免疫抑制剤の投与が乾癬の病変に効果があることから研究が進み、免疫物質であるサイトカインの異常が原因と特定されました。

通常、皮膚の角化細胞が基底層から角化層になって行く期間は25~27日ほどであるのに対し、本症は5~7日と角化細胞のターンオーバー(周期)が異常に短いということが知られています。

また我が国において戦前(太平洋戦争)には、この病気の患者さんはほとんどみられず、戦後に患者数が増加したことから、食事が高蛋白・高カロリーの傾向になったこと、つまりメタボリックシンドロームの状態が続くことが一因とされています。

また一方では遺伝的素因の関連も指摘されています。

この病気は感染しませんが難治性であり、高血圧、糖尿病の疾患に対するような、気長な気持ちで治療することが必要です。

ある患者さんのケースでは外用薬、光線治療に反応して劇的に皮疹の改善がみられました。

ほかの病気でも言えることですが、風邪などによる体調不良やストレスなどで病状が悪化することが知られています。

紫外線照射治療について

尋常性乾癬は外用薬内服薬のほかに紫外線照射が有効であることがわかっています。

この病気の患者さんはヨーロッパをはじめとする、特に紫外線の弱い地域で狩猟民族の流れをくむ北欧に多く、50人クラスのうち数人の生徒がこの病気にかかっているといいます。

またヨーロッパの人が夏休みに地中海沿岸で日光浴をするのは、乾癬の治療法の一環としての側面もあるそうです。

当院には紫外線照射の装置として全身型のナローバンドと、局所に照射するエキシマライトがあります。

以前は紫外線照射時間に20~30分かかりましたが、効果のある波長のみ照射することにより短時間の照射となりました。

外用薬について

以前はステロイドの外用が主体でしたが、ビタミンDの内服が有効であることから、ビタミンD外用薬とステロイドとビタミンDの合剤の使用が一般的になっています。

本症は皮膚科の疾患で難治であることが知られています。つまり、ステロイドの外用で軽快しますが、再発しやすい傾向があるからです。

したがって、外用薬の塗布を気長に根気よくおこなってください。

内服薬について

当院では、本症に対してビタミンDの内服と症例によっては「オテズラ錠」の処方、ビタミンA誘導体である「チガソン」や腎臓移植の際に使用される免疫抑制剤「シクロスポリン」の併用もおこなっております。

続発性紅皮症に近い状態や広範囲に乾癬の病変が広がっている症例に対しては、患者さんと相談のうえ、生物学的製剤の注射を近隣の病院(公立昭和病院)と連携しながらおこなうこともしております。

治療薬「オテズラ」について

平成29年6月より一般開業医において使用できる尋常性乾癬に対して有効とされている内服薬の 経口PDE4阻害剤「オテズラ®錠」が許可され発売になりました。

このPDE4をオテズラが阻害することにより、細胞内のサイクリックcAMPの濃度を上昇させます。

オテズラ錠の特徴は、各サイトカインの免疫機能を完全抑制されないとされることです。正常な免疫細胞の機能に悪影響を及ぼす可能性が低いため副作用が少なく、有害事象の発症が低いと考えられます。

また、内服時に臨床検査の必要性が言われないほど肝臓や腎臓への副作用がなく、安全性が高いと認識されています。

重症な乾癬に有効とされる生物学的製剤は、結核などの感染症の増悪を考え、認定された医療機関のみの使用に限られますが、オテズラは一般開業医の皮膚科クリニックにおいて容易に乾癬患者への使用ができます。

副作用として一番にあげられるのは下痢ですが、多くの場合投薬期間が長くなるにつれて軽減し、正露丸の内服が有効であることが指摘されています。

そして、オテズラの内服とナローバンドをはじめとする光線治療との併用は、より有効との指摘が散見されます。

このような特徴から一般開業医においての尋常性乾癬の治療においてオテズラ®錠の登場は新しいツールとして期待されています。薬価は高いですが、生物製剤注射と比べると医療費は削減できます。

〈 診療案内一覧に戻る